諏訪蘇山(すわそざん)

京焼の陶工。初代から四代(当代)へとその伝統を継承をして製陶されています。

◎初代:1851(嘉永4)~1922(大正11)

本名は諏訪好武。別号に金水堂・精斉。金沢生まれで、22歳頃陶画を学んだ後に東京で製陶業を営みました。明治22年には石川県立工業学校に勤務し、33年には京都の錦光山陶工場に改良方として入り、その後五条坂で製陶業を始めました。大正3年、朝鮮李王家嘱託となり高麗窯再興にあたりました。同6年には帝室技芸員となり、同8年、久邇宮家より金印を賜りました。特技の青磁に優れ「蘇山青磁」と称されます。胎土に鉄分を含ませた青磁の焼成法に成功し名工とされています。銘印は楕円「蘇山」印です。

利休像
楕円「蘇山」印

◎2代:1890(明治23)~1977(昭和52)

本名は諏訪虎子。初代の弟である好直の二女として金沢に生まれました。初代の養女となり、その指導を受け作陶を行いました。2代を継ぎ、弟で陶芸家の米沢蘇峰の次男の修を養子にし代を譲りました。初代同様青磁に優れ各展覧会で受賞を重ねました。銘印は「蘇山」丸印です。

皆具 印と箱書き

◎三代:1932(昭和7)~2004(平成16)

本名は諏訪修。別号に玄心。陶芸家米沢蘇峰の次男として京都に生まれる。京都市立美術大学陶磁器科を卒業。父の姉2代の養子となり1970(昭和45)年に3代を襲名しました。各展覧会で数々の受賞されました。2004(平成14)年に三女の公紀に代を譲り玄心と名乗りました。初期は陶土・磁土を問わず各種作品を制作しましたが襲名後は青磁を主とし色合いの異なる磁土の層で文様を表現する層彩青磁などの新しい技法を駆使し独自の作品を生み出しました。銘印は「蘇山(山の字は△が三つ並んでいる)」楕円印です。

青磁一輪挿 銘印と箱書き

◎4代(当代):1970(昭和45)~現在

本名は諏訪公紀。三代の三女として京都に生まれる。母と姉は12・13代中村宗哲(千家十職)。京都市立銅駝美術工芸高等学校漆芸科卒業後、成安女子短期大学グラフィックデザインコース映像専攻、京都府立陶工高等学校技術専門校成形科・研究科、京都市伝統産業技術者研修陶磁器コース本科を修了。平成9年頃より父とともに制作活動を行い、同14年に4代を襲名しました。天空をイメージさせる練込青磁など独自の世界観を展開し、女性らしい意匠や柔らかい造形で温かみのある作品が特徴です。また初代の作風を念頭に端整で静謐な青磁の作品も手がけています。銘印は「蘇山」三角印です。  

 

 

※参考資料:茶道具の名工・作家名鑑(淡交社)  、京の茶道具作家名鑑(淡交社)

 

 

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