黒田正玄（くろだしょうげん）家は、代々竹細工・柄杓師の家系です。千家十職の一職です。
初代 黒田正玄：1578（天正6）～1653（承応2）年
越前国（現福井県）黒田郡の武士黒田七郎左衛門。関ヶ原合戦後に剃髪し正玄と改名する。近江国（現滋賀県）に移住し竹細工を正業としました。その後上京し小堀遠州に茶の湯を学び「天下一」の柄杓師一阿弥から柄杓づくりの伝を受けて徳川将軍家の柄杓師となりました。また大徳寺江月宗玩に参じて千宗旦の知遇も得たといわれております。
二代 黒田正玄：1626（寛永3）～1687（貞享4）年
初代の三男。三代将軍家光の御用柄杓師を務めたと伝わっています。功績として柄杓の寸法型を残す。
三代 黒田正玄：1656（明暦2）～1717（享保2）年
二代の長男。表千家6代覚々斎、久田家3代宗全の御用を承りこの頃より千家の出入りを許され柄杓師となりました。
四代 黒田正玄：1692（元禄5）～1731（享保16）年
三代の長男。40歳にて早世してしまう。
五代 黒田正玄：1708（宝永5）～1778（安永7）年
四代の養子。表千家7代如真斎、裏千家8代又玄斎、武者小路千家7代直斎の御用を務めました。この時現在地（京都市上京区一条殿町）に転居。
六代 黒田正玄：1747（延享4）～1814（文化11）年
五代の長男。表千家8代啐啄斎、裏千家9代不見斎、武者小路千家8代一啜斎の御用を務める。名品を数多く伝わる。
七代 黒田正玄：1768（明和5）～1819（文政2）年
六代の養子。表千家9代了々斎、裏千家10代認得斎、武者小路千家9代好々斎の御用を務めました。襲名後5年で逝去。
八代 黒田正玄：1809（文化6）～1869（明治2）年
七代の長男。わずか11歳で家督を継ぎます。12代将軍家慶、表千家10代吸江斎、裏千家11代玄々斎の御用を務めました。七代駒澤利斎（指物師）との合作など、名工の誉が高かったとつたえられています。
九代 黒田正玄：1837（天保8）～1859（安政6）年
八代の養子。23歳の若さで早世しました。
十代 黒田正玄：1825（文政8）～1900（明治33）年
九代早世後、八代が一番弟子であった利助を娘婿に迎えて十代を継がせました。十代は自身の長男が14歳になると代を譲り隠居しました。
十一代 黒田正玄：1869（明治2）～1911（明治44）年
十代の長男。14歳で家督を継承。表千家11代碌々斎、裏千家12代又玅斎、武者小路千家11代一指斎の御用を務める。画家の富岡鉄斎との交流も知られる。
十二代 黒田正玄：1880（明治13）～1973（昭和48）年
十一代の妻。十一代没後、十一代の実弟常次郎と弥五郎の助力により家督を孫の十三代に譲るまで家業を守りました。94歳で天寿をまっとうしました。
十三代 黒田正玄：1936（昭和11）～2017（平成29）年
1966（昭和41）年に十三代を襲名しました。表千家13代即中斎・14代而妙斎、裏千家15代鵬雲斎・16代坐忘斎、武者小路千家13代有隣斎・14代不徹斎の各家元の茶杓をはじめ、好みの道具を多数制作しました。
十四代（当代）黒田正玄：1967（昭和42）年～
十三代の長女。2006年（平成18）より三千家に出仕し父のもとで修業を積みました。平成26年に14代を襲名しました。
※参考資料「茶道具の名工・作家名鑑ー淡交社編集局編」（淡交社）
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