お茶席の床の間には掛軸が掛けられています。
呼び名としては掛軸が一般的ですがお茶の世界では掛物と呼んでいます。
【掛物の歴史】
書籍・絵画を表装し掛けることは他の多くの文化同様、中国からもたらされました。
時代は平安時代、密教の伝来に伴い我が国に伝えられたようです。
仏前を荘厳する仏画が中心となっていました。
その後は次第に禅宗が盛行し中国の絵画や墨蹟の「唐物」が沢山舶来しました。
室町時代に入ると日本独自の表装形式が現れ、書院荘り(しょいんかざり)の中心的役割を担いました。
同時代末期に草庵茶の時代を迎えると、これまでの絵画・墨蹟の他に懐紙・色紙・消息などが出現しました。
江戸時代に入ると、短冊なども掛けられるようになりました。
双福(二幅対:二本が対になって意味をなす掛軸)、三幅対(三本が対になって意味をなす掛軸)もあります。また扇面が掛けられることもあります。
掛物の内容は多岐にわたっています。
墨蹟
消息
色紙
絵画
画賛
【掛物の重要度】
茶道初期の時代には掛物は必ずしも中心的存在ではなかったようで、利休時代に入り茶道の形式が確立すると茶席で第一に掛物が重要視されるようになります。中でも墨蹟が第一とされました。
茶事・茶会にて席に招かれた際は、先ず床の間を拝見し一礼をします。掛物の筆者、文字、字句などが生まれた背景に対して行います。
さらに亭主の意図するところ、季節感を端的に表現する第一のモノになります。
鑑賞は掛物の内容もそうですが裂地などの表装も拝見します。
裂地
紙表装
【軸先】
塗(朱・黒など)
木(唐木など)
象牙
骨(鹿など)
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参考文献『茶道具百科』淡交社
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